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2014年7月 5日 (土曜日)

THE BIG FELLAH 大千穐楽



東京楽から約一ヶ月後の大千穐楽。
なんだかポエム的な感想文になっている。
旅公演の間にも変わったらしいとい聞いていたし、お稽古する気満々の演出家さんに少しもやもやしながらも進化を楽しみにしていた。



初めて行く劇場で、音響が違うからかもしれないのだけど、それにしても届いてくる声が違っていた。何度観たんだよって自分にツッコミ入れたいけど、東京公演もさんざ観たのに、受け取れていなかったことばかり、と思って、自分の理解力の無さにうんざりする。ところどころ抜けていたパズルのピースがやっと見つかって、ぴったりはまった感じがした。

できることなら、びわ湖バージョンをもう一度観たい、と思うほど、確かに完成度が増していた。

声が重かった。

オープニングと一幕で仕込まれた謎が、二幕、三幕、四幕、そしてエピローグで解き明かされていく。これは、IRAやテロのお話じゃなく、ビッグ・フェラーの物語なんだと、ようやくすとんと落ちた。描かれているのは30年なので、その間に人は変わるもの。ても、答えはほとんど一幕にあるんじゃないかとも思ってしまう。

二幕、エリザベスとマイケル
こなれてきたラブシーンf^_^;)
二人とも設定上は三十代と書いてあるんだけど、10年前に19歳とか言ってるのはちょっと合わない…けども。大楽では少年少女のような恋する二人に見えてきた。最初は歳上のお姉さんと若い男って組み合わせに見えたのにな。
イエス・キリストがいてね、だのなんだのいう会話が戯曲では書き換わってるけど、その書き換わってるところが、エリザベスがマイケルを本気で好きになっちゃった感じが出てる気がし、上演されているのとは違うっていうのに、そのままなーみたいな、変な気分。そして浦井くんの・・・じゃなくてマイケルの恋してる表情いいよね。

足半分だけ服着たマイケルと、エリザベスのキスシーンが長くなってない?f^_^;)
が、自然な気がする。色っぽくはないんだけど、可愛らしくていいなぁ(T ^ T)
コステロがバスルームに駆け込んだ後、「リビアじゃないって」の後も追加?

服着た後のエリザベスとマイケルの会話の、でも君は、上からの命令で・・・って辺りからマイケルの口調が激しくて、ここも、おーっ変わってるーと思いながら見ていた。たぶん。記憶に自信ないけど。
コステロがマイケルの部屋に入ってきた時点では、まだエリザベスをどうするかは決めてなかった。コステロがバスルームに入って行ったあと、マイケルが外のトム・ビリーを見て、何か気付いた? 気付いてないか。ちょっと印象に残ったのだけど。

コステロは話しながら、エリザベスを見極めていた。エリザベスの言葉を黙って聞くコステロの表情が物語っているじゃないか。私、東京で内野さんをほとんど観てなかったんだっけ?と思うくらい、コステロの心情がよく見えた気がする。

エリザベスの抵抗する叫び声も迫力が増していた。マイケルにとって、恋愛関係になった人が粛清された、というその記憶より、「マイケル、助けてー」という叫び声がより強く残ったりはしていないだろうか。信頼しているコステロに銃を向けられて言葉を失い、抵抗をやめてしまうマイケルに保身の気持ちはあったのかなぁ。純粋無垢な魂に傷が付いた? そんなマイケルはエリザベスの目にはどう映ったのかな。
結局疑問が残ってる? けっこうスッキリしてるのに。

コステロが「命令だ」と言ったのと同時に、あ、これ命令じゃないんだ、とはっきり確信した。それまでもやっとしていたものが大楽にしてやっと。
IRA本部からの命令を実行するかどうか迷っているのかも、とも思っていたのに、そうか、とあっさり納得した。
ルエリがその後、四幕でちゃんと言ってるじゃないか。命令じゃなくてあんたの意思なんだろ?
どこからコステロ自身の意思で「命令」が実行されてきたんだろう。

フランクが探しに来た密告者もコステロだとして…。ルエリがFBIにもたらす些細な情報はスルーされ、これは、という大きな情報で動く。

カレルマにイギリス兵を殺したのは自分だと告げたルエリの笑い声は狂気じみていて、だからFBIがルエリから弱っていたコステロに標的を変えたのだという解釈でもいい。アイルランドに帰りたがったルエリはアイルランド人であり、結局コステロはアメリカ人だった。IRAの活動をしていると言っても、コステロにルエリほどアイルランドへの思いはない。

ルエリが服を整え、髪を後ろになでつけただけで時の流れを表現したのもかっこいい、と観るたびに思っていた。アイルランド訛りが抜けてすっかり成功者となったルエリの表情もよかった。
マイケルやトム・ビリーのように、疑うことなく変わらなかった人間は気付かない。すっかりニューヨーカーとなったルエリの中にはそれでもアイルランドの家族への思いは強く残っているし、2人の愚かな差別意識も軽蔑していた。頭もいいから裏切り者がどうなるかもちゃんとわかっていたけれど、それでもコステロの行動がついに許せずに破綻を迎えた。
ルエリの言葉の奔流に、まさに流されていきそうになったけれど、すべて言葉が意味を持ってラストに繋がっていくのが良かった。

ビッグ・フェラーのスピーチの後、マイケルの部屋に舞台が移ったところから、マイケルへのぞわぞわするような怖さが増していく。トム・ビリーと深刻そうに話はしているけど、ゲームか、それこそお芝居の中の話のような現実感のなさ。
まだ命令を待った方がいい、という。

コステロがマイケルに言う「まだわからないのか… 」
お前は軍隊にいるんだ。敵は撃たなくちゃいけない。お前の手はもう汚れている。責任を取ってくれるIRA本部からの「命令」なんてもうないんじゃないか。

一発の銃声と、その後の誰かが倒れた音。
マイケルがコステロを殺した。
そうじゃなければ物語が完結しない気がする。死を求めて来たコステロが、30年もいたゲームの世界からマイケルを現実に引き戻す。
トム・ビリーがコステロを殺した。
ドライに。マイケルの目の前で無言でコステロを撃ち抜き、呆然として崩れ落ちる。

マイケルがトム・ビリーを殺した。
まさかね。
コステロがトム・ビリーを殺した。
コステロにとって都合がいい部下だったトム・ビリー。でも邪魔になって。生焼けチキンすら与えなかった。なんてね。

エピローグのマイケルの淡々とした日常。
感想も繰り返し。
今までの出来事は夢の中だったんじゃないかと思うくらいに、平凡な朝。ラジオなんか聴きながら、何事もなかったようにあのバスルームにいるマイケル。トム・ビリーとの彼の関係は、変わってないだろうか。今でも誰かが時折、彼の部屋に住むのだろうか。
なんだかもう誰も来ないような気がした。あの朝は日常だけど、ひどく孤独を感じた。
マイケルに自分を重ねて胸が苦しくなって行った東京公演。マイケルは自分と似ている。違う。たぶん、誰にでもあるんじゃないか。現実を逃れて、誰かの言われるがままに動くこと。どんどんマイケルに感情移入していって、それってマズイ、と思いながらも、でも実際そうなんだからしょーがないじゃないかと。東京楽でピークに達し、思わず口に出したら、彼はだいじょぶかー? ぶんぶんっ、と笑顔で振り払ってくれたりした。

そうだ、たかがお芝居にのめり込んではいかん。が、約1ヶ月間もやっとくすぶり続けた。

ラストの解釈は変わらない。
自分の行動の意味を理解せずにテロ活動をしていたマイケルは、彼が理解できない組織が起こしたテロ行為によって命を絶たれる。彼はヒーローになるけど、彼の30年がなんだったのか、誰にも省みられることはない。
もしルエリが生きていたら、時々は思い出してもらえるかな。
自分の意思で、自分で判断し、行動に責任を持つことが、生きてるってこと。
最後にはそこに行きつく。
それでも、マイケルの生き方を完全には否定したくないとも思う。

浦井くんが出演していなかったら観なかったと思う。
初日に観たときは、あまり面白いとは思えなくて、既にとってあるチケットをどうしようかと途方に暮れた。観ている最中はルエリの言葉に気を取られていて、でも翌日になってからじわじわとマイケルを思った。二回目からが面白くなった。
三回目からは虜になったよう。この面白さはなんなんだろう。魅了(笑)
千穐楽過ぎてからまさか英文の戯曲なんて買って読んでしまうとは。

暑かったのに、海風とは違う、琵琶湖の爽やかな風を思い出す。
素敵なお芝居に出会えてよかったな。

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