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2014年6月 8日 (日曜日)

THE BIG FELLAH 3

第三幕 一場 1987年
マイケルの部屋はソファが変わっていたり、マンUのタオルがなくなり、レコードプレーヤーがたぶんCDに、スピーカーも大きくなってる。壁の飾りも変わってる。そして、舞台を観ていても気付かなかったけれど、
It now seems symbolic, a combination of an act of defiance and a memorial to ELIZABETH.
なんでしょうかね、これは。

フランクとルエリのシーンは、初めは田舎から出てきたおじいちゃんとのほのぼのしたやり取りのように見えもする。ルエリもコステロもエリザベスも、フランクの凶暴性を既に言っているのに。フランクの言動に対するルエリの表情には最初から少々の緊張感が見えてたなー。

この三幕でも、ルエリのセリフを通じて状況が説明されていた。ルエリが今では建築士として成功してること、フランクがアル中治療のプログラムを受けてること、コステロの家族のこと、マイケルが昇進のための勉強をしてること…。

ルエリが初めに言ったように、釘で打ち付けられたギターを見たフランクの突然の変化に自分も緊張する。
直後にタイミング悪く入ってきたマイケルは、キルト姿で帽子もかぶってて、可愛い。40歳くらいの設定だけど、そうは 見えない。客席からは歓声や笑い声が上がるときもあった。初見のときは確かに可愛いし、思い出すこともあって、おっと思ったけど、いきなり殴られてさらに緊張感が走る。でもまだ、カバンを被せられるところでも笑いが起き、ルエリが殴られて鼻血を出しても、笑いが起きる客席。静かな客席からよけいに響く。一部の人の笑い声。
ルエリもマイケルも怯えているのになんで笑えるのかな。とても笑えないのだけど。
でも、笑いが起きるように作られてもいるようにも感じる場面。観客はテレビの中の芸人さんがいじられているのを見て笑うような感覚で笑っているんじゃないか。なんで殴られてるのに笑ってるの? そんな観客席が怖くなる。
あるいは、カバンを脱がされたときに露わになる傷ついたマイケルを見て、笑ったことが間違いだったと、思わせるためのもの。笑ってる隣席の人を怖いと思わせる。そんなことまで意図して作られてる?
観客の心の痛いところを突いてきてる気がする。

ルエリ。マイケルをかばうものの、身体を張って止めるでもない。そこにいるのは正義の味方じゃないから、自分を犠牲にして守るわけじゃない。

ドリルでドアに穴を開け、そのドアの向こうのルエリを傷つけるフランク。ルエリが一幕で言っていた通りのことが起ころうとしている。しかも、表情が全然凶悪そうに見えなくて、淡々としているのがむしろリアル。
このドアには本当に穴を開けているようだし、公演数の分だけ、ドアを作ったのかな…。まぁ、そこの真ん中部分の板。この穴、四幕以降は同じ緑の色のテープ?で補修されてた。

またマイケルに向き合うフランク。マイケルの膝にドリルをくっつけるけど、動かしてないのがよかった。怖いから。マイケルは叫び声を上げ続けていて、見てるのがつらい。コステロが入ってきて、フランクに銃を向け、視線はフランクのまま、マイケルの頭に触れたときの怯えているマイケルの反応が印象深い。マイケルにもコステロの声は聞こえてるだろうけど。その後、落ち着かせるように手を握るところも。
ルエリが鼻に詰め物して、肩に手を当てて出てきたのと入れ替わりに、マイケルがバスルームに入るところで、ルエリがマイケルを観てすごい悲鳴を上げるのも、重傷だと思わせて嫌だなぁ。

銃を向けているコステロが優勢には見えるけど、そこからは心理戦かな。娘のこと妻のことを出して、コステロを窺うフランク。エリザベスはフランクに対して特別な嫌悪感を持っていた。フランク言動や考え方がイコールIRA本部というわけではないとも思うけれど、ここからのフランク対NY支部の対決が、コステロを変えたと考えることが素直かな。

18年もののマッカラン。本命の彼女ができるまでとっておいてある。とっておいたのに、奪われて可哀想なんだけど。きっと、この後、代わりのものをコステロに買ってもらったと信じたい。
そして、本命じゃない彼女はいたのか。本命の彼女を作りたかったのか。IRAとわかって結婚する女はいないわけだから、本気で誰かを愛そうなんて、マイケルが思っていたとは?
殉教者めいているけど、神に結婚しないと誓ったわけでもないわけで、ルエリだって結婚するんだし。でも、ちょっと引っかかる。
エリザベスの存在はマイケルにとってどの程度の重みがあったのか。

部下を痛めつけられ、家族のことで自分をも言葉の暴力を受けたコステロの反撃は、アルコールを絶ったフランクが自ら酒を口にするようにさせること。この反撃、観てる方はスカッとする? この辺りでも客席からは笑いが起こっていたりするのも怖い。フランクが気の毒とまでは思わないけど、正義が悪を打ち負かすわけじゃない。

バスルームで様子を見ていたマイケルが突然怒りの表情に変わり、「このケダモノ撃ち殺してくださいよ!」と叫ぶ。マイケルの言動に共感はしないけど、この表情はかなり好き。・・・珍しいからかもしれない。
マイケルは撃ち殺してくださいよ、と言う。殺してやる、でもなく。
自分ではやらない。

18年もののマッカラン。マイケルが一番最初に飲ませてもらえて良かった。一番じゃなきゃ可哀想だし。うめーと叫び、下手に移動してスピーカーに駆け上る。初日にルエリがキルトをめくったときは、うん、中どうなってるか気になるよねー、と思ったけど、2回目に観たときはめくってなくて。3回目以降はずっとめくってた。中は本来はなにも付けてないらしいけどf^_^;) だいぶ暴れるのではだけて見えてるし、毎週あの衣装で練習してるんだから、ルエリだって珍しくないだろうと思うので、このスカートめくりはいらないんじゃないかと、思ったり思わなかったり。

18年もののマッカラン。せっかくのものなのにこんな風に使われたことも見ていて切なかった。旨いと言いながら、美味しく飲めていたとは思えない。優勢に立った彼らは笑うけど、暴力的な笑いで楽しそうでもない。

信念を持って、道徳的目的が必要だというコステロに同調しそうになるのも怖い。
正義なんて、立ち位置によって違う。どこかの刑事ドラマのセリフじゃないけど、どんなに正当性を主張してても、この人たちみんなやってることは…。絶対的な正義の味方のヒーローじゃないんだから。

ついにグラスに手を伸ばし、飲み干したフランク。まず思ったのは、アルコールをやめて、妻をボコボコに殴るようなことはなくなったのに、ああ、この人、それならまたDV夫になる。ということだった。
コステロは、勝ったと思っただろうか。
三幕、笑いを引き出すのは脚本の力なんだろうか、演出なんだろうか。笑いが怖い。

それで? 密告したのは誰? それとも誰もしなかった?


ニ場 美術館

暗転して美術館に。カレルマとルエリの会話で、かなり解き明かされた。カレルマの正体。
密告したのは誰か。ルエリがコステロが元気がない、とカレルマに話しているから、だからFBIがコステロに近付いた、と考えた方がエピソードに意味が出てくるのだけど、ルエリが言わなくても、コステロの娘と妻のことはFBIは知っている。フランクのシーンの前にFBIが近付いていても不思議じゃない。
6年間も情報を流し続けていてもトム・ビリーもマイケルも無事で、爆弾は爆発しているのだから、ルエリが持っている小さな情報はスルーしてコステロを取り込んだ?
密告したのは・・
コステロが言ったように、本部の誰かだったんじゃないだろうか。

もう金を払ってくれなくてもいい、これからの人生を楽しく過ごすには自分でやってみないといけないと思う、と言うルエリ。お調子者だけど、一番自分を持っていて、建築士になりたいと言って、成功するルエリ。変わっていくようでブレがないルエリと、変わらないようでいて流されていくマイケルが対照的。
ルエリはもう金はもらわないけど、守ってもらわないといけないからカレルマとも離れられない。IRAからは抜けられない。いつか、新しい名前をつけて逃がしてもらう。これって、承認保護プログラムのことだよね…。
カレルマは承諾したけど、イギリス兵を殺したのは自分だと告白して笑うルエリがものすごく怖い。承認保護プログラムは完璧に実行されるかもしれない。そのルエリを見るカレルマの表情を思うと、FBIはルエリを守らず、ルエリは逃れられなかったかもしれない。
カレルマは裏切られたと思ったかな。

カレルマが去り、ルエリがジャケットを脱いで、メガネをかけ、髪を後ろに撫で付ける。この変化で表現する時の流れがすごくて、成河くんが素敵に見えた場面の一つ。

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